「最近、どうも疲れやすい」「朝起きるのがつらい」「なんだかイライラする」と感じることはありませんか? その原因、もしかしたら「鉄不足」かもしれません。鉄は、全身に酸素を運ぶ大切な役割を担っています。鉄が不足すると、体は酸素不足になり、様々な不調につながってしまうのです。書籍『疲れと不調にサヨナラ! 体と心をラクにする 鉄分貯金』(KADOKAWA)では、予防医療コンサルタントの細川モモさんが、多くの女性を元気にしてきた経験をもとに、「鉄分貯金」の大切さを分かりやすく解説します。今回はこの本の中から、体の中から元気を取り戻し、イキイキとした毎日を送るためのヒントをご紹介します。
※本記事は細川 モモ (著)、村野 直子(監修)の書籍『疲れと不調にサヨナラ! 体と心をラクにする 鉄分貯金』から一部抜粋・編集しました。
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自分の「貯蔵鉄」の値、知っていますか?
血液検査で貧血を判断するときの指標は、ヘモグロビン値(Hb)と平均赤血球容積(MCV)でした。ですが、これだけ鉄不足に陥っている現状の中で、この2つの値が正常値範囲内だったとしても、鉄不足のサインが見られることが多々あります。その鍵を握っているのが「貯蔵鉄(フェリチン)」なのです。
HbやMCVは血液中の鉄濃度ですが、貯蔵鉄は肝臓や骨髄などにストックされている鉄のこと。血中の鉄が足りなくなると、このストックから貯金を下ろすかのように差し出されます。この鉄の貯金は何かあったときのための保険として、ある程度ストックしておかなくてはなりません。ですが、2009年の国民健康・栄養調査では、20〜40代女性の半数以上が貯蔵鉄不足であることがわかっています。貯蔵鉄が少ない=貧血予備軍という状況なのです。
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通常の血液検査では貯蔵鉄は測られないため、気づかない人が多いという現実があります。病院に行くと、血液検査に追加して(+千円程度)測れますし、自宅で検査ができる郵送の検査キットも最近では販売されているので、ぜひ一度、自分の貯蔵鉄の値がどのくらいなのかを把握しておくことをおすすめします。
ちなみに、50代から急激に貯蔵鉄の不足が緩和されているのは閉経を迎えることが大きいと考えらえます。鉄を摂るのも大事ですが、失われる量がいかに大きく影響しているのかを物語る重要なデータといえます。
また、世界各国の中でもここまで日本が鉄不足に陥っている要因には、じつは他国が実施している政策が影響しています。鉄欠乏性貧血が少ない国々は、下記の表のように主要な食材に鉄を添加しているのです。たとえば、アメリカやカナダなどでは小麦に、メキシコやベネズエラではとうもろこし粉に、中国では醤油に、とさまざまな食材に鉄が添加されています。貧血大国を返上すべく、日本も鉄が添加される日が待ち遠しいものです。
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