「小学生の頃の参観日に現れたのは母ではなく作業着姿の父でした。当時の私はみんなと違うことが恥ずかしく、父を避けてしまいました。この日の記憶と後悔は消えないままです。大人になった今、私が父に伝えたいこととは...」
■私と目が合うと嬉しそうに手を振った父
父は10年ほど前に70代後半で他界しました。
祖父の代から続く職人で、記憶の中の父はいつも作業着姿で、汗水たらして働いていました。
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寡黙な人で、子育てに無関心というわけではないのでしょうが、猫可愛がりされた記憶はなく、ベタベタしてくることもない「昭和の父親」という感じの人でした。
小学校低学年の頃のある雨の参観日のことです。
教室の後ろにはいつもより綺麗な服を着てお洒落をしたお母さんたちが並び、同級生たちもソワソワして後ろを振り返っては手を振り合っていました。
私も母の姿を探しましたが、なかなか現れず、授業開始のチャイムとともに担任の教師が入ってきました。
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それからしばらくして後ろの扉が開き、作業着姿の父が入ってきて、真ん中あたりに立ち、振り返った私と目が合うと嬉しそうに軽く手を振ってきました。
その当時、平日の参観日に来るのはほぼお母さんで、お父さんの姿はめったにありません。
どうしてもお母さんが来られない子は、おじいさんやおばあさんが来ていることはありました。
教室の空気がなんとなくざわざわし、隣の子に「もしかしてお父さん?」と不思議そうな顔で聞かれても返事をせず、それから一度も後ろを振り返らずに授業は終わりました。
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教室から出ていくお母さんたちにまぎれて、父が私のほうを気にしているのを横目で感じながらも、私は目を合わせようともしませんでした。
スーツ姿ならまだしも、作業着で来たことも恥ずかしかったのです。
「どうしてパパが来たの? ママに来て欲しかった! パパが来ている子なんていなかったよ!」
家に帰り、私は母に半泣きになりながら訴えました。
すると父は寂しそうにこう言いました。
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